AIが敬語・言い回しを間違える時のプロンプト修正パターン完全ガイド
- 1.AIの敬語ミスの9割は「誰が・誰に・何のために書くか」をプロンプトに書いていないことが原因
- 2.「文体指定→NG例提示→出力形式の固定」の3ステップで、ほぼ一発で正しい敬語が出るようになる
- 3.一度うまくいったプロンプトをテンプレ化して保存しておくと、次回以降の修正コストがゼロに近くなる
この記事を読み終えると、AIに文章を書かせたときに出てくる「敬語がおかしい」「丁寧すぎて距離感がある」「メールっぽくない」といったズレを、プロンプトの書き直しだけで自力で直せるようになります。具体的には、①なぜAIが敬語をミスするのかの仕組み、②今すぐコピペして使えるプロンプトのテンプレート、③よくある失敗パターンと直し方、の3点を順番に解説します。難しい設定や有料プランは一切不要です。
対象となるシーンは幅広く、取引先へのメール、社内Slackの連絡文、採用ページの求人票、SNS投稿、ニュースレターなど、文体が重要なあらゆる場面に使えます。ChatGPT・Claude・Geminiといった主要ツールで共通して使える考え方を中心に解説しますが、一部ツールにより挙動が異なる点はその都度補足します。
なぜAIは敬語・言い回しをミスするのか

AIは大量のテキストから「よく出てくる言葉の並び」を学習しています。日本語の文章は、書いた人の職業・立場・相手との関係性によって同じ内容でも表現が大きく変わります。ところがプロンプトに「丁寧に書いて」とだけ伝えると、AIは「丁寧な文章のよくある平均」を出力します。結果として、顧客向けメールに「ご査収ください」が頻出したり、フランクなSlack連絡なのに「何卒よろしくお願い申し上げます」が混入したりします。これはAIの欠陥ではなく、「どのレベルの丁寧さを・どのチャンネルで・誰に向けて使うか」という情報がプロンプトに欠けているために起きる、情報不足の問題です。逆に言えば、その情報を正しく与えれば、かなりの精度で意図した敬語レベルに近づけられます。
敬語レベルを5段階で定義してプロンプトに書く
「丁寧に」「ビジネスっぽく」という抽象的な指定が失敗の元です。代わりに、敬語レベルを1〜5の段階で自分の中で定義して、その番号や説明をそのままプロンプトに書き込む方法が最も手軽で効果的です。以下の5段階を参考にしてください。各レベルの特徴と、どんなシーンに向いているかをセットで覚えておくと、プロンプトを書くときに迷いません。
- レベル1(タメ口): 友人・同僚との会話。「ありがとう」「了解」。SNSの親しい読者向け投稿など。
- レベル2(ていねい語): 「〜です/ます」を基本に使う。社内の上司への短い連絡や、軽めの社内Slackに向く。
- レベル3(一般的なビジネス敬語): 「よろしくお願いいたします」「ご確認ください」など。取引先への通常メールの標準。
- レベル4(丁寧なビジネス敬語): 謙譲語・尊敬語を使い分ける。初めての取引先、クレーム対応、格式ある場面。
- レベル5(最敬語・フォーマル): 「拝啓〜敬具」の形式、古語的な表現も含む。公式文書・役所への提出書類など。
プロンプトに「敬語レベル3(取引先へのメール標準、謙譲語は最小限に)で書いてください」と加えるだけで、出力のバラつきが大幅に減ります。数字+説明の組み合わせが鍵です。
最重要:プロンプトに必ず入れる3つの情報
敬語ミスを防ぐために、プロンプトには最低でも次の3つの情報を書く習慣をつけてください。①書き手は誰か(会社名・役職・業種など)、②読み手は誰か(初対面の取引先/社内上司/サービス利用者など)、③何のために書くか(初回挨拶メール/納品連絡/クレーム返信など)。この3点を具体的に書くことで、AIは適切な「キャラクター」と「場面」を理解して文章を生成します。抽象的な助言に聞こえるかもしれないので、すぐ下のコードブロックに実際のプロンプト例を示します。
# 設定 - 書き手:中小企業の営業担当(30代・製造業) - 読み手:初めて連絡する取引先の購買部長 - 目的:先日の展示会で名刺交換した後のフォローアップメール - 敬語レベル:3(一般的なビジネス敬語。謙譲語は使うが過剰にしない) - 文字数:200字前後 - NG表現:「ご査収ください」「何卒よろしくお願い申し上げます」(堅すぎるため) # 依頼 上記の設定で、展示会でのお礼と次回アポイントのお願いを自然な日本語で書いてください。
NG例を先に書いて「やってほしくない表現」を封じる
AIへの指示で見落とされがちな強力なテクニックが「NG例の明示」です。「丁寧すぎる表現は避けて」と書くだけでは、AIは何が丁寧すぎるのかを判断できません。なぜなら、丁寧さの基準は人・会社・業界によって違うからです。そこで、具体的に「この表現は使わないでください」と固有の言葉を列挙します。例えば「ご笑覧ください・ご高覧ください・謹んで・拝察いたします」などは、慣れていない読み手には難解に感じられる表現です。NG例を3〜5個書くだけで、出力の方向性がぐっと狭まり、意図したトーンに近づきます。
# 設定 - 書き手:チームリーダー - 読み手:同じ部署の部下3名(全員20代) - 目的:来週月曜の朝会の時間変更を知らせるSlackメッセージ - 敬語レベル:2(「です・ます」は使うが、フレンドリーさも残す) - 文字数:80字以内 # NG表現(絶対に使わないでください) - 「お手数ですが」 - 「よろしくお願いいたします」 - 「ご確認のほどお願い申し上げます」 - 語尾に「〜でございます」 # 依頼 来週月曜の朝会を9:00から10:00に変更する旨を、上記の設定と文字数で書いてください。
実際のやり取り例:納品メールを修正するまでの流れ
ここでは、ECサイトを運営する個人事業主が取引先への納品完了メールを作ってもらおうとした場面を使って、失敗→修正→成功の流れを再現します。最初のプロンプトで何が足りなかったのか、どこを直したら変わったのかを一緒に確認してください。
【最初のプロンプト(失敗例)】 「納品完了のメールを書いて」 【AIの返答(失敗例)】 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、このたびご発注いただきました商品について、本日発送が完了いたしましたのでご報告申し上げます。 ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。 敬具— よくある失敗パターンの再現例
上の返答は文法的には正しいのですが、個人事業主が継続取引の相手に送るにはやや格式張りすぎています。「拝啓〜敬具」の書簡形式、「ご高配を賜り」などの古語的表現は、相手によっては距離感を生みます。次のプロンプトで、書き手・読み手・目的・NG例を加えて再挑戦します。
# 設定 - 書き手:ハンドメイドアクセサリーを販売する個人事業主 - 読み手:3回以上取引のある小売店の担当者(30代女性・気さくな関係) - 目的:注文品の発送完了を知らせる短いメール - 敬語レベル:3(丁寧だが親しみやすいトーン。「拝啓〜敬具」は使わない) - 文字数:150字前後 # NG表現 - 「拝啓」「敬具」などの書簡形式 - 「ご高配を賜り」「ご清栄」などの古語的挨拶 - 「ご査収のほど」 # 依頼 本日、〇〇様ご注文のピアス5点を発送しました。 追跡番号:1234-5678 上記の内容をもとに、メール本文(件名も含む)を書いてください。
【修正後のAIの返答(成功例)】 件名:【発送完了】ピアス5点のお知らせ 〇〇様 いつもありがとうございます。 本日、ご注文いただきましたピアス5点を発送いたしました。 追跡番号:1234-5678 お届けまで2〜3日ほどお待ちください。 ご不明な点があればお気軽にご連絡ください。— 修正プロンプト適用後の出力例(再現)
書き手・読み手・目的の3点を加え、さらにNG表現を3つ明示したことで、最初の重厚な書簡形式から、親しみやすいビジネスメールへと一発で変換できました。修正箇所は2か所だけ、追加した情報は6行です。
よくある失敗と直し方
敬語プロンプトでよく起きる失敗を4つ取り上げます。「なぜ起きるか」と「どう直すか」をセットで覚えておくと、次回から自力で対処できるようになります。
- 失敗①:敬語が混在する(「いたします」と「します」が同じ文章に混ざる)→ 原因:文体の一貫性を指定していない → 直し方:プロンプトに「全文で『〜いたします』に統一してください」と1行追加する
- 失敗②:語尾が毎文「〜よろしくお願いいたします」で終わる → 原因:「丁寧に」とだけ指示するとAIが定型句を多用する → 直し方:「締めの表現は文章全体で1回だけ使ってください」と制限する
- 失敗③:主語が抜けて誰が行動しているか不明になる → 原因:日本語の省略習慣をAIが過度に適用する → 直し方:「主語(私・弊社・〇〇様)を省略せず、各文に明示してください」と書く
- 失敗④:「させていただく」を連発する(1段落に3回以上) → 原因:AIが「丁寧=させていただく」と学習しているケースがある → 直し方:NG表現に「させていただく」を加え、「代わりに『いたします』か『します』を使ってください」と指定する
応用:トーンを「参照テキスト」で指定する方法
敬語レベルをレベル1〜5で表現しても、会社や個人によって「丁寧さ」の感覚が違うことがあります。そういう場合に有効なのが、「参照テキスト」をプロンプトに貼り付ける方法です。例えば、自社の過去メールやウェブサイトの文章をそのままプロンプトに貼って「このトーンに合わせてください」と伝えます。AIは参照テキストの文体・語彙・敬語レベルを学習して、同じトーンで新しい文章を生成します。参照テキストは200〜400字程度あれば十分です。長すぎるとプロンプト全体が重くなり、ツールによってはトークン上限(処理できる文字数の上限)に引っかかることがあります。自社の「文章らしさ」をAIに覚えさせる最も手軽な方法として、ぜひ試してください。
# 参照テキスト(このトーンと敬語レベルに合わせてください) --- いつもご利用ありがとうございます。 先日ご連絡いただいた件について、確認が取れましたのでご報告いたします。 詳細は添付ファイルをご覧ください。 ご不明な点がございましたら、お気軽にお声がけください。 --- # 依頼 上記のトーンを参考に、請求書送付の案内メール(150字前後)を書いてください。 内容:今月分の請求書をメールに添付して送った。支払期限は末日。
出力後にAIに自己チェックさせる一文を加える
プロンプトを工夫しても、1回で完璧な出力が出ないこともあります。そのときに使えるのが「自己チェック指示」です。文章を出力した後に、AIに自分の出力を見直させる質問を追加します。具体的には、プロンプトの末尾に「出力後に、以下の3点を自己チェックして問題があれば修正してください。①敬語が文中で統一されているか、②NGに指定した表現が含まれていないか、③文字数が指定の範囲内か」と加えます。これはAIが出力を一度立ち止まって再確認するきっかけになり、凡ミスを自力で直してくれる確率が上がります。ChatGPT・Claude・Geminiいずれでも有効ですが、ツールにより精度は異なります。
「出力後に」と書かないと、AIがチェックを先にやろうとして文章の生成が後回しになるケースがあります。「まず出力→その後チェック→問題があれば修正」という順番を明示することで、2ステップが正しく機能します。
うまくいったプロンプトをテンプレ化して保存する
一度うまくいったプロンプトは、必ず手元に保存しておきましょう。具体的には、テキストファイルやNotionのページ、Googleドキュメントなど、すぐ開ける場所にコピーして保管します。保存するときは「用途名」をファイル名やメモの先頭に書いておくと(例:「納品メール用_取引先向け_敬語レベル3」)、次回使うときに選ぶ手間がなくなります。プロンプトのテンプレが5〜10個揃うと、メールを書くたびにゼロから試行錯誤する必要がなくなります。1回のプロンプト作りに10〜15分かかるとしても、それを10回再利用すれば合計100分以上の節約になります。チームで使う場合は共有フォルダに置くと、組織全体の文章品質が均一化されるメリットもあります。
ChatGPT・Claude・Gemini、ツールごとの傾向と対策
同じプロンプトを使っても、ツールによって敬語の出方に差が出ることがあります。これはツールが学習したデータや設計思想の違いによるもので、どれが優れているというより「得意なパターンが異なる」と理解するのが正確です。以下はあくまで一般的な傾向であり、バージョンアップや設定変更で変わる場合があります。
- ChatGPT:指示への素直な追従性が高い傾向があり、NG表現や敬語レベルの指定が比較的効きやすい。ただし「丁寧に」だけの指示では定型句を多用しがち。
- Claude:文体の自然さに強みがあるとされる。参照テキストを使ったトーンの模倣が得意な傾向がある。ツールにより変動するため過信は禁物。
- Gemini:日本語の敬語パターンは継続的に改善されているが、複雑な謙譲語の使い分けは明示的な指示が必要な場合が多い。
- 共通の対策:どのツールでも「書き手・読み手・目的・敬語レベル・NG表現」の5点をプロンプトに書くことが最も効果的。ツール固有の裏技より、この基本を徹底する方が安定した結果につながる。
よくある質問
読者からよく寄せられる疑問に答えます。プロンプト修正を実際に試す前に確認しておくと、余計な試行錯誤が減ります。
- Q. プロンプトが長くなると逆に精度が下がりますか? → A. 一般的に、情報が増えると精度は上がる傾向があります。ただし同じ内容を何度も繰り返したり、矛盾した指示を混在させたりすると混乱する場合があります。目安として300〜500字のプロンプトであれば問題になることはほぼありません。
- Q. 一度出力した文章を「もっと丁寧に直して」と追加指示しても直りません。どうすればいいですか? → A. 「もっと丁寧に」は曖昧すぎます。代わりに「現在の文章の敬語レベルを3から4に上げてください。謙譲語(〜いたします、〜させていただきます)を積極的に使い、語尾に敬意を込めてください」と具体的に言い換えましょう。
- Q. 社内向けと社外向けで毎回プロンプトを書き直すのは面倒です → A. 「社内向け用テンプレ」と「社外向け用テンプレ」の2本を先に作って保存しておくことをおすすめします。変数として「目的」と「文字数」だけを書き換える設計にしておくと、実質の作業は30秒以内で終わります。
①この記事のコードブロックから、一番使いそうなプロンプトを1つコピーして実際に動かしてみる。②うまくいったら用途名をつけてテキストファイルに保存する。③社内で文章を書く機会が多い人がいれば、そのテンプレを共有して組織で展開する。
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